今回は、経営のプロである中小企業診断士が小規模事業者持続化補助金が採択されるための書類を作成するために自社の棚卸しのアドバイスをまとめました。
小規模事業者持続化補助金の提出書類
様式2経営計画書と様式3補助事業計画書が重要
小規模事業者持続化補助金の制度を利用して、Webサイトの作成など自社の販路開拓を行う場合、まずは公募要領で提出書類と提出期限を確認しましょう。小規模事業者持続化補助金の審査は提出書類のみで行われます。記載内容に関する確認やヒアリングは行われません。提出書類、添付資料に不足があれば、どんなに素晴らしい取り組み内容であっても、採択はされませんので、注意しましょう。
提出書類のうち、経営計画書(様式2)と補助事業計画書(様式3)の内容が大きなウエイトを占めています。
様式2経営計画書には、企業概要、顧客ニーズと市場の動向、自社や自社の提供する商品・サービスの強み、経営方針・目標と今後のプランを記載し、様式3保持事業計画書には、補助事業で行う事業名、販路開拓等の取組、補助事業の効果を記載します。
なお、提出書類のうち、様式4「事業支援計画書」は管轄の商工会議所もしくは商工会連合会に作成依頼する必要がありますので、十分に注意してスケジュールを立てましょう。
小規模事業者持続化補助金の提出書類作成で自社の棚卸しができる
補助金申請をきっかけに事業計画書を作成する
このように小規模事業者持続化補助金の採択をうけるためには、様式2経営計画書と様式3補助事業計画書を作成する必要がありますが、この作成の過程で自社に関するさまざまな状況を調査し、検討し、事業の方向性を決めていく必要があります。
事業計画書を作成している企業であればすでに行っていることかもしれませんが、これまでに実施してこなかった。または、以前実施したがここ数年間見直しをしていないといった場合、このためにある程度の時間を確保して取り組まなくてはいけません。実際、小規模事業者持続化補助金の対象である従業員5人以下の小規模事業者では、事業計画を作成していない企業も少なくありません。
しかし、小規模事業者持続化補助金を利用して補助金をうけるということは、国に出資をしてもらうと捉えることができます。出資者が納得できる内容の事業計画書が必要となりますので、自社の状況を整理する良い機会だと捉えて提出書類を作成してみてください。
小規模事業者持続化補助金の様式2経営計画書で業界の動向を棚卸しする
顧客の声、市場全体の動向、トピックス
小規模事業者持続化補助金の様式2経営計画書の「顧客ニーズと市場の動向」で棚卸をします。
市場の状況を把握するのに一番大切なのは、自社の商品・サービスを利用しているお客様の声です。普段、商品・サービスを提供する際に要望を聞いたり、評価のコメントなどをいただいたりしていないでしょうか。
もしくは、商品カテゴリ、時間帯、価格帯、顧客年齢層、などからお客様の行動に傾向がないか分析してみます。アンケートや「お客様の声」を集めている場合は、それらも活用してお客様の声を整理しましょう。
もう少し広い視点で、市場・業界全体の動向を調査します。簡単な方法としては、「~~業界 動向」のように検索して情報収集します。また、調査機関が有償で販売しているものもあります。
最後に業界のトピックスも確認しておきます。ニュースや新聞で取り上げられるようなトピックスがある場合、確認しておく必要があります。お客様にとっては同じ業界に属しているわけですから、自社としてはなにも変化がないとしてもお客様からどのように見られているかは把握しておく必要があります。
小規模事業者持続化補助金の様式2経営計画書で自社の強みを棚卸しする
ソフト面/ハード面の強み×強みの出所
小規模事業者持続化補助金の様式2経営計画書の「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」には、自社の強みを記載します。
以下を参考に強みの切り口と強みの出所を考えると整理しやすくなります。
強みの切り口
ソフト面:企画力、生産力、販売力、営業力、技術力、品質、アフターフォローなど
ハード面:商品、価格、店舗、立地、生産設備など
強みの出所
内発:こだわり・自信がある。
外発:顧客から評価の声を受けている。
比較:他社にない・他社より優れている。
切り口と出所を組み合わせると、自社の強みを書きやすくなります。
ここでも、お客様から評価の声を受けている場合は明確な強みの根拠になりますので、自信をもって強みとして取り上げましょう
小規模事業者持続化補助金の様式2経営計画書で業績目標を棚卸しする
定量的な目標値の設定
小規模事業者持続化補助金の様式2経営計画書の「経営方針・目標と今後のプラン」で業績目標を明確にします。
数値で表せる定量的な目標が必要になります。具体的には、売上高、売上高総利益、営業利益、客数、客単価、など、販路開拓との取り組みで改善を目指す指標を設定します。
「販路開拓の結果、売上(利益)の増加を目指します。」では不十分で、売上(利益)が増える根拠が必要になります。具体的には、売上=客数×客単価で計算したり、売上=単価×数量で計算したりして、目標値を設定します。
そのため、施策がどの顧客層に効果的であるかを想定しておかなければならず、前段の顧客ニーズの把握が重要になってきます。
小規模事業者持続化補助金の様式2経営計画書で事業計画(短期計画、中期計画)を棚卸しする
事業計画の明文化で自社の目指す方向を統一
小規模事業者持続化補助金の様式2経営計画書の「経営方針・目標と今後のプラン」には短期および中長期の事業計画を記載します。
つまり、自社として業績向上のためにどのような取り組みに注力していくかを考える必要があります。
計画の内容の重要性に加え、今後の計画を作るということに大きな意味があります。会社が進む方向性を明文化することで、自社内で授業員の意識をその方向へまとめる効果を期待できます。
また、計画を作成する際には可能な範囲で授業員の方の意見も取り込み、自社全体が納得できる計画を作成することを目指します。
様式2経営計画書の要求どおりに記載していくと、どの顧客層にどのようなアプローチをすれば、業績面でどのような効果が期待でき、最終的に売上高(利益)がどれほど伸びるかを把握することができます。一方、目標売上高に達するためにはどのような取り組みをしなければ行けないのか、の視点と合わせて計画を立てる必要があります。
小規模事業者持続化補助金の様式3補助事業計画書でこれから取り組む施策を棚卸しする
小規模事業者持続化補助金の様式3では、様式2経営計画書でまとめた事業計画のうち、直近で取り組む施策を選定し記載します。
様式2経営計画書で作成した事業計画(短期計画、中期計画)に一貫性、実現可能性があることが前提となりますが、将来の計画達成のために今なにをすべきかに焦点を当て、タスクを詳細化していきます。
直近1年以内に実行すべきタスクを5~6段階程度に分割し整理したものであれば、そのまま様式3補助事業計画書に記載して問題ないレベルです。
また取り組みを進めるうえで順次決定していく内容は、全て提出書類の具体性の向上につながりますので、一石二鳥です。
例)商品開発なら、具体的な開発の内容、価格帯、売り込み方法、出展先
ロゴシール作成なら、ニーズ収集方法、デザイン内容、貼りつけ方法、シール印刷業者
専門家を利用した自社の棚卸し
小規模事業者持続化補助金の提出書類の作成をきっかけに自社の棚卸しを行うことで、事業計画書の作成に必要な自社の情報を整理しておくことができます。
ただし、現実的には小規模事業者持続化補助金の対象となる従業員5人以下の企業にとって、事業計画を考え、申請書類を作成するというステップ自体が負担になり頓挫してしまうことも考えられます。
office57では中小企業支援の専門家である中小企業診断士と連携し、小規模事業者持続化補助金の書類作成を支援しています。補助金申請書の作成において、ヒアリングを行い、自社の強み、市場動向、販路開拓の取り組みなどを共に考え支援させていただきます。
自社内だけでどうしたらよいか分からない、事業計画のストーリーがまとめられないといった場合はぜひご相談ください。
小規模事業者持続化補助金の提出書類の作成代行
Webサイト作成、店舗の看板作成、チラシ作成、新商品の開発など補助対象となる費用の幅が広く、多くの小規模事業者にとって使いやすい補助金であるといわれています。
例えば、Webサイトの作成に75万円の経費が掛かる場合、2/3の50万円を上限として補助を受けることができます。
office57では、小規模事業者持続化補助金の利用を検討しているが、事業計画を作成したことがない、申請書類を作成している余裕がない企業様の経営計画書・補助事業計画書の作成を代行します。
ポイントを押さえた書類作成により効率的に採択を狙うことができます。小規模事業者持続化補助金を検討している場合は、気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
- office57と提携している中小企業診断士
【小規模事業者持続化補助金】などの書類制作を中心に活動中。
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