今回は、経営のプロである中小企業診断士が小規模事業者持続化補助金が採択されるための注意点まとめました。
小規模事業者持続化補助金の提出書類
様式2の経営計画書と様式3の補助事業計画書の内容が採択を左右します。
申請に必要な書類は、応募開始時に公表される「公募要領」に詳しく記載されていますので、かならず確認しましょう。
例年、様式2「経営計画書」、様式3「補助事業計画書」が各申請事業者の取り組みを示す部分になり、この部分の記載内容が採択を左右することになります。
なお、様式4は「事業支援計画書」は管轄の商工会議所もしくは商工会連合会にて作成することになっています。遅くとも締め切りの1週間前には管轄の商工会議所もしくは商工会連合会に作成依頼する必要がありますので、書類準備のスケジュールを考える際には十分に注意しておきましょう。
小規模事業者持続化補助金:様式2経営計画書の書き方
企業概要、顧客ニーズと市場の動向、自社や自社の提供する商品・サービスの強み、経営方針・目標と今後のプランを記載する。
企業概要には、開業当初からの経緯を踏まえ現在の事業内容、提供するサービス・商品とその売上状況・利益の状況などを記載します。
顧客ニーズと市場の動向には、顧客ニーズとして主な顧客の属性(ターゲット)や自社にあてられた顧客の生の声、業界共通の顧客ニーズを記載します。また、市場の動向として、市場規模や将来性、業界のトピック・ニュースなどを記載します。
自社や自社の提供する商品・サービスの強みには、いわゆる自社の強みを記載しますが、ソフト面の切り口で企画力、生産力、販売力、営業力、品質などについて記載します。またハード面の切り口で商品、価格、店舗、立地などについて記載します。
経営方針・目標と今後のプランには、会社としての今後の方針・方向性、そのための取組内容を記載し、次に具体的な目標として客数、売上、利益を記載します。そのあとに目標に向けた取り組みのスケジュールを記載します。
小規模事業者持続化補助金:様式2経営計画書の注意点
自社の事業計画書として丁寧に記載する。
様式2経営計画書は小規模事業者持続化補助金の提出書類の1つですが、単なる申請書類として捉えるのではなく、内容は自社の事業計画書に相当する内容が求められてると捉えて記載することが必要です。一方、事業計画書を様式2経営計画書に落とし込むことは非常に有効です。
企業概要は、申請書を呼んで初めて自社を知る審査員に対して、会社のことを知ってもらうつもりで丁寧に記載しましょう。
取扱いサービス・商品を紹介する際には、図解して説明したり、サービス・商品の写真や店舗写真なども効果的です。
売上や利益については、全体の業績ではなく、サービス・商品別、顧客別、販路別、時間帯別などの切り口を設定し、さらに売上は客数・客単価まで分解して、自社の状況を詳細間で把握し・分析していることを記載します。
顧客ニーズと市場の動向では、上に書いた売上や利益の分析からわかる顧客ニーズを、数値を根拠に記載します。さらに、自社にあてられた生の声を記載することで顧客ニーズの具体性が高まり、非常に有効です。一方、市場動向は、客観的な数値データを使用して記載します。顧客ニーズも自社内で抽出した結果だけではなくて、業界全体にとっての顧客ニーズももれなく記載しましょう。
調査においては調査機関・公共機関・自治体の資料(有償、無償など)を使用します。広くインターネット検索で発見したデータは信用できるデータか注意しましょう、出所を確実に確認するように注意しましょう。
自社の強みは、思いつくまま記載するのではなく、切り口を設定すると次に整理しやすくなります。
①ソフト面:企画力、生産力、販売力、営業力、技術力、品質、アフターフォローなど
②ハード面:商品、価格、店舗、立地、生産設備など
どのような強みなのかを挙げましょう。
①内発:こだわり・自信がある。
②外発:顧客から評価の声を受けている。
③比較:他社にない・他社より優れている。
切り口とどのような強みかを組み合わせると、自社の強みを書きやすくなります。
①品質×こだわり・自信
②立地×こだわり・自信
顧客からの生の声が届いている場合は具体的に記載することも効果的です。
経営方針・目標と今後のプランでは、3~5年後の事業計画を記載しましょう。大きく「方針・方向性」「目標(売上、利益など)」「スケジュール」を記載しますが、方針・方向性では、
①方針:概要
②取組:取り組み内容
目標は、必ず数値で目標設定しましょう。具体的には売上高、営業利益、販売個数、販売客数、店舗別売上、などの指標を設定し、取り組みの成果により最終的に3~5年後の最終目標値までステップアップするように記載します。
また、売上、利益などの根拠を明確にします。そのため表形式での記載が有効です。
小規模事業者持続化補助金:様式補助事業計画書の書き方
補助事業で行う事業名、販路開拓等の取組、補助事業の効果を記載する。
補助事業で行う事業名には、経営計画書に記載した方向性、取組内容のタイトルを記載します。
販路開拓等の取組には、取組が必要な背景となる現状の課題、具体的な取り組み内容、経営計画書に記載したスケジュールのさらに詳細な実施内容を記載します。
補助事業の効果には、効果の概要、短期的効果、中長期的効果、売上効果(目標の達成過程)を記載します。
小規模事業者持続化補助金:様式3補助事業計画書の注意点
補助金が必要な理由を使い道を丁寧に記載する。
様式2経営計画書の内容のうち、小規模事業者持続化補助金で実施する内容を抜き出して記載します。経営計画書は3~5年後を見据えた事業計画書になっているはずですが、そのうち補助金で実施する、つまり1年以内に実施する取り組みについて細かく具体的に記載していきます。
「補助金としてもらったお金をこのように使いますので採択する価値があります」と審査員に伝わるように丁寧に記載しましょう
補助事業で行う事業名には、文字通り補助事業の内容を簡潔に示すタイトルを記載しますが、様式2経営計画書の「経営方針・目標と今後のプラン」パートの記載と表現をそろえると、様式2経営計画書と様式3補助事業計画書のつながりが明確になり効果的です。
販路開拓等の取組には、その取組内容を選択した根拠として現状の課題、具体的な取り組み内容を記載します。具体性については以下のようにかなり細かい粒度の計画になることもあります。
補助事業の効果は、最終的に売上・利益目標に貢献することが求められる効果であるので、様式2経営計画書の「経営方針・目標と今後のプラン」パートの目標と同等の内容になります。
それぞれ、具体的に記載する必要があります。出来る限り数値を使用し、図や写真を添付します。数値表現の際にはグラフを使用すると審査員が把握しやすく、こちらの意図どおりに認識してもらえること期待します。
商品開発によって販路を開拓することを計画している場合は、商品開発の内容、価格帯、ターゲット、販路開拓の方法を記載します。他にも外部業者・外部サービスの利用、ツール(ソフトウェア)・機材の導入などを予定している場合は、業者名・サービス名、ツール名・機材型番などを記載すると具体性がUPします。
小規模事業者持続化補助金に採択されたあとの提出書類
提出期限の1か月~1か月半後くらいに採択結果が公表されます。見事審査を通過して、採択されると「採択通知書」と「補助金交付決定通知書」が送付されます。
その後、補助事業を実施し、最後に「実績報告書」と「経費の証拠書類」を期限までに提出しなければいけません。
さらにその後、事後書類に問題がなければ、補助金が交付され、補助金利用に関する一連の手続きが完了となります。
なお、補助金は支出した経費に対して後払いされるもので、事後の必要書類を全て提出しなければ補助金を受け取ることはできませんので注意してください。
補助事業実施時の注意点
補助金交付決定後に実施された取り組みでないと補助金がでませんので、「通知書」を受領したあとに、申請書に記載した販路開拓の取り組みを開始してください。
また、補助事業にはあらかじめ実施期限が定められています。「交付決定~実施期限(2019年は最長12月31日)」と設定されており、この間に様式3保持事業計画書に記載した取組内容を実施し、補助事業に係る経費の支払いを完了させなければいけません。
補助金を利用してWebサイトを作成したいと考えている場合、外部業者に発注することが一般的ですが、補助金採択決定後から実施期限までの発注先選定、見積もり、発注、納品、支払を完了させなければいけないので、外部業者側に補助金に対する理解が求めれられます。
発注先選定、見積もりは採択決定前から着手可能ですので、限られたスケジュールの中で対応できる外部業者を選ぶように注意しましょう
小規模事業者持続化補助金の書類作成で陥るパターン
いきなり申請書類の記載を開始して事業計画書としての一貫性に欠けるパターンが多いです。繰り返しになりますが、自社の事業計画書に相当する内容が求められていますので、まずは様式の項目にそって自社の情報を整理することから始めます。
専門用語を並べて失敗するパターンもあります。審査員は自社のこと、自社の業界のことに関しては素人ですので、専門用語を頻繁に使用しないように注意しましょう。必要な用語は使用すべきですが、注釈や補足を記載するなどの配慮で読み手である審査員の負担を下げるようにしましょう。
審査員は書類を読むことでのみ審査を行いますので、わかりやすい表現を心がけます。
自社のアピールばかりになるパターンもあります。社外の期間に提出する書類ということで、つい自社の良いことばかりを記載したくなる気持ちもわかりますが、この書類でなにかの賞を狙うわけでもありませんし、自社の弱みがあった場合に指摘を受けるわけでもありませんので、補助金が必要な理由を正直に記載しましょう。現状の課題(≒どちらかというと自社の弱い点)を正確にとらえて記載してあることが大切です。
小規模事業者持続化補助金の提出書類の作成代行
小規模事業者にとって使いやすいといわれている小規模事業者持続化補助金ですが、提出書類として事業計画書相当の内容が求められており、採択後も必要書類、証跡を正しく提出しなければ補助金の支払いを受けられないなど、実務的な負担は小さくありません。
そもそも事業計画書の作成やストーリー化して申請書へ落とし込むという経験が少ない会社では、せっかくの補助金利用が途中で頓挫してしまうことも考えられます。
office57では、小規模事業者持続化補助金の利用を検討しているが、事業計画を作成したことがない、申請書類を作成している余裕がない企業に対し、経営計画書・補助事業計画書の作成を代行いたします。
また、小規模事業者持続化補助金の存在を知り、販路開拓を行いたいが事業計画のストーリーがうまくまとめられないといった企業の申請を支援いたします。
小規模事業者持続化補助金の作成代行を利用するメリット
作成代行を利用し、申請書類作成の過程で専門家からのヒアリングを受けることで、自社の現状、業界動向、強み、目標などが明確になっていき、自社の取り組むべき課題が見える化されてく効果も期待できます。
小規模事業者持続化補助金を検討している場合は、気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
- office57と提携している中小企業診断士
【小規模事業者持続化補助金】などの書類制作を中心に活動中。
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