今回は、中小企業にとってWebサイトを補助金を使ってお得に制作できる方法をまとめました。
小規模事業者持続化補助金の概要
小規模事業者持続化補助金とは、全国の小規模事業者を対象とした販路開拓に掛かる経費の一部を補助する制度です。
小規模事業者持続化補助金では、販路開拓の取り組みや販路開拓等に合わせて行う業務効率化の取り組みを支援する費用を補助することを目的としています。
Webサイトの作成はもちろん販路開拓の取り組みに含まれ、Webサイトの作成を検討している企業にとって、小規模事業者持続化補助金は十分に検討の価値があります。
Webサイト作成以外にも、店舗の看板作成、チラシ作成、新商品の開発など補助対象となる費用の幅が広く、多くの小規模事業者にとって使いやすい補助金であるといわれています。
なお補助金とは、取り組み実施後にそれに掛かった経費の一部を補助されるものであり、取り組みを実施する段階では自己資金や金融機関からの借入などによって調達する必要があります。
小規模事業者持続化補助金で補助される金額
小規模事業者持続化補助金の補助率は費用の2/3以内かつ補助上限額は50万円です。
例えば、Webサイトの作成に掛かった経費が75万円であった場合、補助される金額はその2/3の50万円となります。
同じく掛かった経費が60万円であった場合、その2/3の40万円となりますが、掛かった経費が90万円であった場合は、その2/3の60万円ではなく補助上限が適用され補助される金額は50万円となります。
採択されても資金調達できなければ、計画した販路開拓の取り組みを実施できなくなってしまいますので、事前の資金調達について十分に検討しておきましょう。
小規模事業者持続化補助金でできることとできないこと
小規模事業者持続化補助金で補助されるのは、販路開拓の取り組みや販路開拓等に合わせて行う業務効率化の取り組みを支援する取り組みとなっています。
しかし、販路開拓の範囲は、日本国内に限らず海外市場も含まれ、消費者向け、企業向け取引のどちらも対象となりますので、「Webサイトを作成して販路を開拓する」という目的であれば問題なく補助の対象となります。
なお、公募要領には「概ね1年以内に売上につながることが見込まれる事業活動」と記載されていますので、長期的な計画ではなく短期的に計画している取り組みを申請書に記載しましょう
なお、Webサイト作成が含まれる「広報費」の区分では商品・サービスの広報を目的とした以下の取り組みが補助対象となり、単なる会社のPR・営業活動の費用は対象とはなりません。
- Webサイト作成や更新
- チラシ・DM・カタログの外注や発送
- 新聞・雑誌・インターネット広告
- 看板作成・設置
- 試供品
- 販促品
例えば、単なる会社案内パンフレットの作成、求人広告は対象外とされています。WebサイトのSEO対策も効果や作業内容が不明確という理由で補助の対象外とされています。
小規模事業者持続化補助金を受けられる事業者
業種ごとに対象企業の従業員数が定められています。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):5人以下
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業:20人以下
- 製造業・その他:20人以下
会社等法人に加えて、個人事業主も対象となり申請が可能です。開業したばかりの事業者であっても対象となります。
一方、申請時点で開業届を出していない創業予定者や任意団体は補助対象にはなりません。
申請先が日本商工会議所もしくは全国商工会連合会が申請先となりますが、会員・非会員を問わず、申請することができます。
小規模事業者持続化補助金の申請をするときにまず確認すること
事業を営んでいる地域が、日本商工会議所の管轄地域なのか全国商工会連合会の管轄地域なのかにより申請先が異なりますので、自社がどちらの管轄地域に属するのか確認しましょう。
まずは、応募開始時に公表される「公募要領」で応募期間・締め切りを確認しましょう。
申請に際しては、地域の商工会議所もしくは商工会連合会に一部書類の作成・交付を依頼する必要があります。
締め切りの1週間前までには作成・交付依頼が出来るよう、自社内での書類作成は十分に余裕をもって進めましょう。
しかし、過去の募集では、1か月余りの応募期間となっています。募集が開始してから書類作成を検討していては対応期間が短くなってしまうので、既にWebサイト作成によって販路開拓したいと考えているのであれば、前年の公募要領等を参考にして、計画している取り組みをまとめておいた方がよいでしょう。
なお、応募の詳細については、応募開始時に公表される「公募要領」を必ず確認してください。
Webサイトを作るのにかかる費用
どのようなWebサイトを作成するかにより、金額は大きく変わり、平均値を提示すること難しいものです。例えば、テンプレートに従って作成するWebサイトよりは、自社独自のWebサイトを作成する方が金額は高くなります。小規模事業者持続化補助金を利用する場合、その取り組みを実施する期間定められていて、その期間に発注、取り組み実施、実績報告をする必要がありますので、可能であれば自社のWebサイト要件をまとめておくことでスムーズに補助事業を進めることができるでしょう。
通常、「Webサイトを作成しただけ」でWebサイトが閲覧されるわけではありません。小規模事業者持続化補助金を使用するということは、マーケティング・集客効果を期待しているはずです(そうでなければ、採択されません)ので、マーケティング・集客効果を生むための仕掛けをする必要があります。
ちなみに、小規模事業者持続化補助金の補助上限額は50万円ですから、約75万円程度のWebサイト作成を行うことで、自社負担約25万円+補助金50万円となり、「補助制度を最も有効に活用している」と考えるかもしれませんが、補助金の利用が目的ではなく、自社の販路開拓という目的のために補助金を利用するものです。金額ばかりに目が行って本来の目的を忘れないようにしましょう。
小規模事業者持続化補助金の採択を受けるまで
まずは日本商工会議所もしくは全国商工会連合会にて、小規模事業者持続化補助金の募集が開始されたら、締め切りまでに書類をそろえて提出します。
なお、2019年は日本商工会議所と全国商工会連合会とで募集期間が異なっていました。繰り返しになりますが、どちらの管轄地域に属するのかは事前に確認しておいてください。
申請書類には経営計画書と補助事業計画書があります。
経営計画書には、企業の概要、お客様のニーズ・業界の動向、自社の強み、業績目標・販路開拓の取り組み計画を記載します。
補助事業計画書には、販路開拓の取り組み内容、取り組みの効果(目標)を記載します。
経営計画書と補助事業計画書の各項目を個別に考えて記載しては採択につながりません。自社の内部環境・外部環境を踏まえ、なぜその取り組みで販路開拓が実現できるのかのストーリーで記載します。
その後、書類の審査を経て、採択結果が公表されます。全ての申請が採択されるわけではありませんし、採択されたとしても補助金交付決定後に実施された取り組みでないと補助されませんので、採択されるまでは発注しないようにしましょう
採択を受けてからWebサイトを作成するまで
見事審査を通過して、採択されると「採択通知書」と「補助金交付決定通知書」が送付されます。これらを受領したあとに、申請書に記載した販路開拓の取り組みを開始します。
また、実施期限が定められていますので、「交付決定~実施期限(2019年は最長12月31日)」の間にWebサイトを作成し、事後書類を提出した後に補助金が交付され、一連の手続きが完了となります。
小規模事業者持続化補助金を利用するメリット/デメリット
小規模事業者持続化補助金は、補助の対象となる費用の幅が広く、また補助率も2/3で50万円まで補助される、小規模事業者にとって大変便利な補助金です。
その一方、従業員5人~20人の小規模事業者にとって、自社を取り巻く環境、強み、事業計画を整理し、審査員に伝わるようストーリーを構成することは簡単ではないかと思います。
販路開拓の予定とその資金が必要であるという状況と、申請手続きによる負担を十分に比較検討する必要があります。
投稿者プロフィール
- office57と提携している中小企業診断士
【小規模事業者持続化補助金】などの書類制作を中心に活動中。
最新の投稿
- コラム2019年12月24日小規模事業者持続化補助金の書類を作成するために自社の棚卸しをしよう!
- コラム2019年12月23日意外と大変!小規模事業者持続化補助金の提出書類まとめ
- コラム2019年12月9日小規模事業者持続化補助金を採択されるために注意点まとめ
- コラム2019年11月25日Webサイトをお得に作れちゃう小規模事業者持続化補助金とは?